皆さん、こんにちは!週末のちょっとした楽しみに、宝くじ売り場に立ち寄ることがありますよね。特に、その場で結果がわかる「スクラッチくじ」は、手軽なドキドキ感が魅力です。
私も時々、ふと高額当選を夢見て1枚、2枚と買ってしまいます。「もしかしたら、この1枚が運命を変えるかも?」――そんな夢を見させてくれるのがスクラッチです。
しかし、冷静な私の一部が囁きます。「これって、結局どれくらい損してるんだろう?」と。
そこで今回は、夢と現実の境界線に踏み込み、**スクラッチくじの「期待値(きたいち)」**を徹底的に計算してみました。結果は少し厳しいかもしれませんが、この数字を知ることで、今後のスクラッチとの付き合い方がきっと変わるはずです。
1. そもそも「期待値」とは何か?
まず、期待値とは何でしょうか。
簡単に言えば、**「その行為を無限に繰り返した場合、1回あたり平均してどれだけの見返りがあるか」**を示す数値です。
宝くじやギャンブルの世界では、「購入金額に対して、どれだけの金額が戻ってくるかの割合」を意味します。
期待値の計算式(シンプル版)
数学的には、以下の式で求められます。
$$ 期待値 = \sum (当選金額 \times 当選確率) $$
スクラッチくじの価格が200円だとすると、期待値が200円を超えれば「得」、200円を下回れば「損」ということになります。
もちろん、宝くじは運営費用や公共事業への寄付金が含まれるため、期待値が購入額を超えることは絶対にありません。問題は、「どれだけ低いのか」を知ることです。
2. 【モデルケース】スクラッチくじの期待値を計算する
今回は、実際のスクラッチくじの仕組みを参考に、架空の「夢みるスクラッチ」(1枚200円)の当選確率を設定し、期待値を計算してみましょう。
前提として、このスクラッチは総数100万枚発行され、販売価格総額は2億円です。
Table 1:夢みるスクラッチの当選確率と理論上の期待値
等級 当選金額 (A) 当選本数 当選確率 (P) (本数/100万) 期待値への寄与 (A × P)
1等 3,000,000円 1本 0.000001 3.00円
2等 100,000円 10本 0.000010 1.00円
3等 1,000円 10,000本 0.010000 10.00円
4等 200円 150,000本 0.150000 30.00円
5等 100円 200,000本 0.200000 20.00円
合計 – 360,011本 0.360011 (約36%) 64.00円
計算結果の考察
このモデルケースの期待値は、64円です。
つまり、私が200円を投じた場合、平均して手元に戻ってくる金額は64円。収益率(還元率)は約32%ということになります。
残りの136円は、運営経費や公共事業への貢献に使われます。
これは、パチンコや競馬(還元率75%〜80%以上)と比較しても非常に低い数字であり、**「スクラッチくじを買うことは、純粋な経済行為としては極めて非効率である」**という冷徹な事実を突きつけます。
経済学者の多くは、宝くじを「負けること込みで楽しむエンターテイメント費」として捉えています。もし、純粋に資産を増やしたいのであれば、投資や貯蓄に回すべきでしょう。
3. なぜ期待値を知ってもスクラッチを買ってしまうのか?
計算によって、スクラッチの期待値が極めて低いことがわかりました。では、なぜ私たちはそれでも魅了され、ついつい購入してしまうのでしょうか?
それは、期待値が測れない「価値」が存在するからです。
A. 夢の購入と少額のドーパミン報酬
人間は、「もしかしたら高額当選するかもしれない」という非現実的な可能性に対して、大きな価値を感じます。
スクラッチは、たった200円で数百万、数千万の夢を脳内でシミュレーションできる権利を購入していると言えます。この精神的な満足感は、計算式には反映されません。
さらに、末等(200円や100円)が当たると、脳内でドーパミンが分泌されます。この「小さな勝利体験」が、次の購入意欲につながります。
B. 限られた予算内でのエンタメ費
私はスクラッチを「ギャンブル」ではなく、「エンターテイメント費」として割り切るべきだと考えています。
例えば映画鑑賞に2,000円、ゲームの課金に500円払うのと同じように、「数分間のドキドキ体験」に200円を払っていると解釈すれば、精神的負担は減ります。
4. 期待値を少しでも「体感」で引き上げるためのヒント
期待値自体は変わりませんが、購入する際の満足度や、理論上の還元率を感覚的に高める方法はあります。
ここでは、私が実践している購入時のヒントをリスト形式でご紹介します。
期待値アップ戦略(?)リスト
連番での購入を意識する: 1枚ずつバラで買うよりも、冊子(連番)で購入することで、当選確率が均等化され、低額でも確実に回収できる安心感が得られます。
グループ買いでリターンを強化する: 友人や家族と共同でまとめ買いをし、当たったら山分けにする。これにより、自己資金のリスクを抑えつつ、高額当選時のリターンを疑似体験できます。
発売初期を狙う: 理論上は変わりませんが、発売直後はまだ高額当選が残っているという「心理的な安心感」があります。
「還元率」が公表されているキャンペーンを選ぶ: ごく稀に、特定期間で末等当選本数を増やし、実質的な還元率を上げたキャンペーンが実施されることがあります。それを狙って購入するのも手です。
「予算」として財布から隔離する: スクラッチ代は、生活費や貯金とは絶対に切り離し、「今月のお小遣い」の一部として扱いましょう。
まとめ:スクラッチは「投資」ではなく「遊び心」
今回の計算結果から、スクラッチくじは経済的な「投資」対象ではないことが明確になりました。私たちが支払った200円のうち、平均136円は夢や社会貢献のために旅立ちます。
しかし、この数値を知った上で購入するのと、何も知らずに夢を追いかけるのとでは、心の持ち方が全く違ってきます。
私はこれからも、たまにスクラッチを購入するでしょう。ただし、それは**「200円で数分間の夢を買う」**という明確な意識をもって、です。
計算結果を胸に、ドキドキ感を楽しみましょう!
FAQ:スクラッチくじの期待値に関する質問
Q1:スクラッチくじの期待値は、他の宝くじ(ロト、ジャンボ)と比べて高いですか?
A1: いいえ、日本の宝くじは種類に関わらず、期待値(還元率)は約45%~50%程度に設定されています。スクラッチは比較的手軽なため、体感的に還元が少ないと感じるかもしれませんが、ジャンボ宝くじ等と大きな差はありません。今回のモデルケースの32%は、やや低めに設定した例です。
Q2:高額当選が出た後のスクラッチは、買うべきではありませんか?
A2: 理論上、くじはすべて独立した試行であり、すでに高額当選が出たかどうかは、残りのくじの確率に影響しません(販売ロット全体から見れば、当選本数は決まっています)。しかし、心理的には「高額当選がもうない」と感じてしまうため、高額当選報告が出た直後のロットを避ける人が多いのは事実です。
Q3:期待値計算における「当選確率」はどこで確認できますか?
A3: 宝くじの種類によって異なりますが、販売元の公式サイト(みずほ銀行宝くじ部など)や、スクラッチの販売冊子に記載されていることがあります。ただし、具体的な「当選本数」や確率が細かく公表されていない場合もあるため、正確な期待値の計算は難しいケースもあります。今回の計算は、公開情報や一般的な還元率に基づいた推測値となります。
Q4:アメリカやヨーロッパのスクラッチも期待値は低いですか?
A4: はい、ほとんどの国営または州営の宝くじは、公共事業への資金調達を目的としているため、還元率は低く設定されています。ただし、アメリカの一部地域では、最高還元率が60%を超えるスクラッチも存在します。日本よりは還元率が高い傾向にありますが、それでも購入額の100%を超えることはありません。